僕は、五(ぐ)に張った。

思った事を書いてるだけ

二日酔いは水を飲もう

昨日、家でしこたまに酒を飲み酔っ払ってパチ屋へ行った。

数千円使ってエヴァで1万発ちょい出た。

それは久しぶりの快勝でマジで嬉しかった。すぐに交換して約5万円の小遣いを得た。連チャンしている時から、その使い道はすでに決めていた。

豪遊しよう。

つまりそれはキャバクラだ。ナイトワークに従事している僕にとって酒を運ばれ接客される側に強い憧れがあったりする。たまにはいいじゃないか。

懇意にしているキャバ嬢がいる。

彼女は僕がどこぞのキャバクラのボーイである事を知らない。だからこそ、ガチで口説ける奇跡のような存在。あと一歩でアフターくらいは行けそうな気配がある。だからこそ、この5万円はそのワンチャンに賭けようと思った。

彼女に連絡をすればきっちり出勤していた。僕はタクシーを拾い、すぐにその店へ向かった。

そして1杯目にテキーラを乾杯。それは彼女を酔わせる為のチャンスメイク。僕のスケベ心が静かに微笑む。

しかし、すでに酔っ払っている僕にとってこのテキーラは重すぎた。すぐに思考がクルクル回り、意識が朧気になっていく。彼女は言った「今日は私も飲みメンなのよね」。

その言葉は2杯目のコカボムを誘い、さらにクライナーへと続き、その後に薬みたいな細長いやつを乾杯することになった。僕は完全に飲まれた。

ドライフラワーをカラオケで歌った記憶。「キャバ嬢とは」という講釈を偉そうに垂れた記憶。カネならあると連呼していた記憶。

恥ずかしい。

そして、僕は自宅の布団で目を覚ました。外が明るかった。雀のチュンチュンが聞こえた。スマホを見る。充電が切れていた。

ふいーーーーという長いため息が出た。

込み上げてくる吐き気、眉間に走る鈍痛。そして尿意。起き上がるとふらふらした。まだ俄然として酒が残っている気がした。

便座に座わり小便を垂れれば、気が抜けた屁と共にちょっとだけウンコが出た。くせえ。

昨夜の失態が断片的にフラッシュバックしてくる。ああ、恥ずかしい。死んじゃいたい。あんな偉そうなことべらべら語ってべへれけに酔っ払って。中途半端に覚えているからこそ、余計にきつい。もう消えてなくなりたい。いやマジで。

水道水をコップ3杯飲んで再び布団へ入った。こういう時はとにかく水を飲んで体内の水分を入れ換えなければならない。ずっと世界がグルグルと回った。動悸と吐き気と憂鬱に苛まれすべてが灰色だった。気持ち悪い、死にたい、辛い…。それから、起きているのか寝ているのかよくわからない状態をさ迷った。

出来るだけスケベな妄想をした。それは唯一考えることができるポジティブな思考。しかしどうして、そんな妄想に昨日のキャバ嬢が登場しては再び負のループに陥ってしまう。ああ、もうヤダ。酒なんかもう飲まない。気持ち悪い、気持ち悪い、僕、気持ち悪い…。

そして、夜になった。酒は抜けたような気がしたが、憂鬱さは抜けなかった。むしろ加速していた。虚無、不安、焦燥…。負のパワーに押し潰されるような感覚がした。

しかし、仕事には行かなければならない。布団から起き上がり、熱いシャワーを浴びた。

財布とアイコスは昨日穿いていたズボンのポケットに入っていた。財布の中には千円札が1枚。そしてアイコスのスティックがない。ものすごい気持ちになった。あー、最悪や。

道中、コンビニでパンと野菜ジュースと紙タバコを買った。食欲など微塵もなかったが無理矢理にでも食っておくのは二日酔いへの対策でしかない。

職場でモソモソとパンをかじりながら昨日のキャバ嬢へお礼とアイコスのスティックの件についてLINEをした。返信はすぐになかった。それが、さらに不安を掻き立てた。もしや嫌われてしまったのか…。

同僚に昨夜の件を話すとちょっとだけ気持ちが楽になった。もっと笑ってくれ僕の愚行を。やはり、誰かに話す事で悲劇は喜劇へと変わる。僕の十字架は軽くなっていった。

そして、営業が終わり帰宅した頃、昨夜のキャバ嬢からLINEの返信がきた。「楽しかったよ、4月はバースデーだから絶対来てね」と。その言葉にずいぶん救われた。アイコスのスティックは店にはなかったとの事だったが、全然いい。

昨日の僕よ、ただ成仏してくれ。

気持ちはだいぶ晴れていた。ふと時計を見れば、朝の5時。たぶん、おそらく、昨日最後に酒を飲んでから24時間は経っている。もう、大丈夫だ。そんな気がした。
さっきコンビニで買ってきたしじみの味噌汁にお湯を入れた。二日酔いにはやっぱこれだよね。

熱々のそれをすすっていると、なんとなくビールが飲みたくなった。